建築基準法に違反している物件では旅館業の許可は無理なのか?

「建築基準法に違反している建物でも旅館業の許可が取れますか?」「検査済書がないと民泊は無理と言われた」等々の質問を受けることが多々あります。

結論から言えば、許可は「取れる」のです。

根拠となっているのは、昭和28年の国の通達(昭和二八年七月一五日厚生省公衆衛生局長あて鳥取県知事照会「発公衛第五七一号」)です。

鳥取県知事からの「公衆衛生上何等支障なく、旅館業法上当然許可を与えなければならない施設であるも、当該施設は建築基準法第六条第一項違反建築物であるため、同一行政庁においてこれに許可を与えることは行政上不当と考えられるが、かかる場合、旅館業法による公衆衛生上の見地からこれを理由に不許可として申請書を却下することができるか。或は、あくまで旅館業法により許可を与えるべきか。」という照会に対して、厚生省公衆衛生局長は、「旅館業の許可の可否は、もつぱら公衆衛生の見地から決定すべきものであるから都道府県知事は、当該営業の施設の場所及びその構造設備が公衆衛生上支障がないと認めたときは、当該施設が建築基準法による建築の確認を受けていないものであつてもこれを許可しなければならないものと解されたい。」と、「許可すべき」と明確に回答しているのです。

例えば、現行建築基準法では、耐火構造でない建築物の場合、3階以上部分を旅館業施設として使用することはできないことになっています。しかし、仮に3階以上部分を旅館業施設として利用していても、それをもって保健所側は旅館業の許可を下ろさなければならないのです。

但し、建築基準法は第9条で、違反建築物に対しては、「工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。」とも定めているので、注意は必要です。