新聞や雑誌で、6月2日付けの「閣議決定」や、6月20日付の「民泊サービス」のあり方に関する検討会の「「民泊サービス」のあり方に関する検討会最終報告書(以下最終報告書)」をもって「民泊が全面解禁」されたと誤解させる報道が相次いでいるが、全くの虚偽報道だ。
今回「自由化」されたのは、あくまで「一定の要件」の範囲内で、住宅を有償かつ反復継続して利用者に利用させるものである。
そしてこの「一定の要件」は、「180日以下の範囲内で適切な日数を設定する」ことになっており、「諸外国の例も参考にしつつ、既存のホテル・旅館との競争条件にも留意する」ことになっている。(最終報告書)
諸外国の例は、イギリスでは年間90泊以内、オランダのアムステルダムでは年間60泊以内だそうだ。かつ、「既存のホテル・旅館との競争条件にも留意する」ことになっているから、60泊や30泊以内に法定される可能性もある。
サブリース契約等で民泊をビジネスとして行っている人ならご承知のことだが、稼働日数が180日以下なら、運営事業者に運営を委託した場合にはほとんどの場合、採算は取れない。自分で全て運営する場合でも困難だろう。
そして「一定の条件」、つまり180日を超えて、採算が合うように実施する為には「旅館業法に基づく営業許可が必要」(最終報告書)なのだ。
つまり今回の閣議決定の本当の結論は、「ビジネスとして民泊を実施したいのなら、きちんと旅館業法の営業許可を取得して行って下さいよ」ということなのだ。これは至極当然のことだろう。
また、「民泊全面解禁」と言っても、勝手気ままに実施できるわけではない。以下のような規制の下に置かれることも忘れてはならない。趣味やサイドビジネスで行う場合でも、お金を徴収して他人を宿泊させる訳だから、宿泊客客にも周辺住民にも大きな責任があることは当然だ。
- 1.住宅提供者は、住宅を提供して民泊を実施するに当たり行政庁への届出を行う。「家主不在型」の民泊については、住宅提供者が管理者に管理を委託すること。
- 2.利用者名簿の作成・備付け(本人確認・外国人利用者の場合は旅券の写しの保存等を含む。)。
- 3.最低限の衛生管理措置、簡易宿所営業並みの宿泊者一人当たりの面積基(3.3m²以上)の遵守。
- 4.利用者に対する注意事項の説明。
- 5.住宅の見やすい場所への標識掲示。
- 6.苦情への対応。
- 7.当該住戸についての法令・契約・管理規約違反の不存在の確認。
- 8.無登録の仲介事業者の利用の禁止。
- 9.法令違反が疑われる場合や感染症の発生時等、必要と認められる場合の行政庁による報告徴収・立入検査。
又、違法な民泊(日数制限に違反した民泊等)を提供した場合の業務の停止命令等の処分や罰則が設けられることになっています。